Apple iPhone 5

時価総額で世界1位に躍り出たアップル。CEOのスティーブ・ジョブズ氏が引退を表明したものの、10月には世界中が待望するiPhone5が発売されるといわれ、快進撃はとどまるところを知らない。

そうしたなか、中国では8月、あろうことか“ニセモノiPhone5”が発売され、世界的なニュースになった。話を聞きつけ、小誌は広東省深セン市にある「華強北路」に向かった。我々はニセモノiPhone5を求め、携帯ショップの集まるビルに入った。内部には、携帯を陳列した2畳ほどの店舗が50軒ほど並んでいる。

ところがひと通り見て回っても、それらしき商品は見つからない。仕方なく、別のビルへ移動しようとしたとき、ある店の女性店員が声をかけてきた。

「iPhone5あるよ~」

我々が思わず足を止めると、店の奥から小箱を取り出して来た。中から出て来たのは、iPhone3GSに似た端末だった。端末の背面には、確かにiPhoneと書かれてある。

「これ、パチモンでしょ?」と訪ねると、悪びれる様子もなく、店員は答えた。

「そうよ。でもデザインと寸法はiPhone5と寸分違わず同じだよ。これ持ってれば自慢できるよ」

彼女の言い値は7800円だったが、10分ほどの交渉の末、結局6500円で手を打った。

◆パチモンiPhone5スペック
寸法 W62mm×H115mm×D9.5mm
重量 116g
OS オリジナル(Javaベース?)
ネットワーク GSMのみ(2回線利用可)
通信 Bluetooth(Wi-Fi機能はなし)

◆コンパクトな本体に、なんとスタイラス付き!
背面のアップルロゴや製品表記などは印刷が滲み、安っぽさが漂う。本体の右上部にスタイラスが付属しており、引っ張ると写真のようにアンテナのごとくぴょこっと顔を出す。本物のiPhoneでは利用機会はないが、このニセモノでは大活躍。というのも反応が鈍く、指先では反応しないことしばしばだからだ…

◆これはヒドい!箱も付属品もかなり雑!
箱もiPhone風デザインで、よく見ると写っている機体はニセモノiPhone5! ただし画面だけはハメコミでiOSという意味不明な写真。しかも、コネクタは不良品で接続できなかった!

◆ホーム画面のアイコンはモロパクリ!が、アプリ類は追加&削除不可……
アプリのアイコン類は見事なまでiOSのパクリ。ただし解像度が低く、汚い!さらに電話画面、ロック画面、設定画面などもそっくりだ。カメラ、動画プレーヤー、FMラジオ、テレビ、「QQ(中国で有名なポータル)」系のアプリ計28個が入っていた…

◆唯一のオリジナル機能? SIMカード2枚挿し!
本物と違って電池は取り外し可能だ。内部にはSIMカードスロットが2つ、マイクロSDスロットが2つ。電池を取ると、IMEI(端末識別番号)が見えるが……

◆背面カバーを開けると、堂々と「iPhone5」の文字が…

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こうした模倣行為を下支えしているのは、人民たちの間で高まるアップル人気にほかならない。例えばiPad2の購入資金を得るため、26万円で腎臓を売った17歳の少年の騒動や、「iPhone4を買ってくれたら処女をあげる」と援交募集した少女の件など、行きすぎたアップル人気の例として国内外のメディアで大きく取り上げられた。

取材中、そんなアップル人気を肌で感じた。夜の街で繁華街を行き交う小姐(ホステス)たちが、皆iPhoneを持っていたからだ。中国の物価水準からすれば、まだまだ高価なはず。一般的な新卒サラリーマンの1か月分の給料なのだ。そんな携帯を、20歳そこそこのコが当たり前のように持っている様は異様ですらあった。

こうした現象について、広東省在住のある駐在員はこう解説してくれた。

「今、iPhoneを愛人契約の対価として小姐に渡すことが流行している。例えばiPhone1台で1か月ヤリ放題とか(笑)」

iPhoneにこんな使い方があるとはジョブズもびっくりだろう。中国におけるアップル人気について、携帯事情に詳しいジャーナリストの山根康宏氏はこう語る。

「中国国内ではiPhoneの供給が需要に追いついていないんです。中国では携帯はSIMフリーで事業者から売られていますが、iPhoneに限っていえば、チャイナユニコムが2年分の通信料をあらかじめチャージしたSIMカードと抱き合わせで販売している。この付属のSIMカードは1か月以上、端末から抜いた状態でいると失効する仕組みになっていて、転売することが困難になっている。そのため、転売市場でも品薄状態が続いている。そんな希少性がさらに付加価値となり、購買力と見栄の強い中国人には、ますます喉から手が出るほど欲しいアイテムになっています」

かつて、アップル製品を生産するだけで、誰も購入できなかった中国。そんな国でアップルフィーバーが起きているとは……。それはよくも悪くも、世界の工場から世界の市場へと変わりつつある現代中国を如実に投影しているのかもしれない。

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